このたびオーストラリアにて第62回日豪経済委員会が開催され、2回目の参加でしたが、707名もの方が日豪から参加と最大規模となりました。
日本側(JABCC)日豪経済委員会運営委員として初めての参加となり、日豪経済界重鎮の皆様とともに運営委員会にも出席いたしました。
実は西オーストラリア州 パース初訪問でしたが、東海岸のシドニーやメルボルンに比較するとだいぶこじんまりとした街ではありますが、のんびりした雰囲気はオーストラリアらしさも感じました。
西オーストラリア州は言わずと知れた「資源が豊富な州」であり、日本企業も大半がこれらの事業に関与する企業となります。ガスや鉱石など資源が豊富な土地はその昔、先住民であるアボリジニの土地であることも事実であり、これらの経緯から毎回、スピーカーの方が登壇するたびに、先住民(1st nation)に対する敬意を表明する挨拶から始まるスピーチはほかの州では見られない光景であり、非常に印象的でした。
今回の会議のロゴにもこの先住民への敬意がイメ―ジが象徴された印象でした。
1.防衛・安全保障・宇宙の連携
資源・エネルギービジネス事情、そして防衛産業まで日豪経済における重要なテーマの学びは非常に刺激的でした。今回の最も大きな関心事は2025年8月5日にオーストラリア政府が次期汎用フリゲート艦に関し、日本の三菱重工製の「もがみ」を選定した事をうけて、今後のさらなる経済連携に関する話題でした。 日本政府としても史上初めて防衛に関する技術提供をすることとなり、日豪連携のさらなる強化の軸となる大きなニュースとなりました。
地政学的な観点からもオーストラリアは南半球に位置し、北半球でおきているあらゆる不確実性のある世界から一線をおいている状況です。また、この決定以前からも昨今ある中国に対する不安要素から日米豪の軍事に関する関係はさらに強固になっており、今後益々この関係は重要になってくると感じています。
2.エネルギービジネスと技術
今回の会議でもっとも多く聞いたキーワードは「経済安全保障・エネルギー安全保障」という言葉でした。こうした軍事的環境、そして、何よりも日本は特にこの西オーストラリア州からは多くのエネルギー供給をうけている国として、包括的サプライチェーンを維持し、日本への輸入を確保する、という点も日本にとっては非常に重要な点であることも再認識しました。
最終日は産業視察でWoodside Energy社へ訪問しました。多くのガスプロジェクトを日本企業とも連携して実施しており、この本社で現在実施している技術などの説明をうけました。
通常ガス資源を供給するにも1000km以上離れた現場から輸出するまでの道のりは大変な状況であり、加えてその過酷な労働環境に人が操作することも多くの課題があります。こうした状況を解決するためにも沿革操作できるような技術開発に力をいれています。技術開発の為にアメリカのNASAからロボットがアメリカ国外では唯一この企業に存在する、ということで、こうしたイノベーションも資源ビジネスの裏には欠かせないことも多く学びました。日本の技術も一部利用されており、技術提供における日本の強みは今後さらにオーストラリアでは活かせるのではないかと感じました。
3.DEI(女性活躍)セッション と 次世代リーダーズによる「人材活用とAI」について
二国間の会議においてこの2つのテーマはあまりないかもしれませんが、日豪経済委員会では毎回セッションとして開催されるテーマとなっています。どちらもこれからの日豪ビジネス発展には重要なテーマであり、この会議が若手プロフェッショナルからシニアエグゼクティブまでと幅広い層が参加している事を実感する機会でした。

- DEIは特に世界的にみても日本はまだまだだいぶ後進国であることは社会でも認知されています。それでもオーストラリアは安全な国、という観点からも他国に比較しても日本から女性赴任者が増えている事、そして、グローバルビジネスに関わったことがきっかけで企業内にも変革を起こすきっかけになる方もすくなくありません。今回、日経新聞で女性初支局長になった方、またグローバル企業の日本社長であった方が登壇され、それぞれの仕事におけるチャレンジやどう改革していったか、など実体験をまじえてのセッションとなりました。内容はすばらしかったのですが、、一番の課題はこうしたセッションに「日本人男性」がほぼ参加していないことです。まずは現状把握し、そしてもっと来年は日本人の方に参加していただけるようなセッションになればと思います。

- 次世代リーダーズ(Future Leaders Program:FLP)のセッションは今後の働き方にどのように人材を登用し、そしてAIを活用して ビジネスを効率化、活性化できるかというテーマでそれぞれ議論しました。 AIももちろん重要ですが、個人的な懸念はやはり日豪に関与する、特に日本人プロフェッショナルをどのように今後確保できるか、という観点は非常に重要に感じています。益々今後人口減になる国において、強固な二国間関係構築には人材が非常に重要であり、日本の伝統的企業慣習であるローテーション制度の中で、将来的にオーストラリアへ貢献するような若手人材を発掘していくことも重要と感じました。
FLPにてこれらを解決すべく日豪ヤングプロフェッショナル(NYP)というコミュニティをたちあげました。より多くの日豪ビジネスに関与する若手が集まる場となればと願います。
人事制度やスペシャリスト育成など、これらの課題は今後日本企業内においては重要と感じています。AIの活用はその中で補完的に活用する事でよりよいビジネス効率化が実現できる世界をさらに学んでいければと思います。
4.来年にむけて
AOMの事業は「人の移動」に関与するビザのサポート、という事業になり、支援する日系企業各業界は幅広く、各事業におけるビジネス状況は進出する州や業界、そしてこの今のトレンドによっても大きく変わり、支援する中でこうした動きは日豪関係の発展を垣間見る気持ちです。
今、日豪関係では何がおきているか、ということを知る上では非常に刺激となり、日豪を通じてたくさんの仲間たちとの交流は本当に意義深く、日本にとっては大変重要なパートナーであることも再認識しました。
日豪経済委員会・豪日経済委員会による共同声明についてはこちらをご覧ください
来年2026年は第63回 日豪経済委員会は千葉県千葉市幕張にて開催予定となります。
また、日豪友好協力基本条約署名50周年にあたります。人と人との交流が二国間の軸となるため、人の移動を支援しているAOMとしても一層日豪ビジネスに貢献できればと思います。

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