メルボルン大学准教授 大石奈々先生著 「流出する日本人」 海外移住の現状について

このたび、メルボルン大学准教授 大石奈々先生著「流出する日本人」という本が発売となりました。まだまだ日本人にとっては他国に比較しても「海外移住」を検討する方はごく限られた人になるかもしれませんが、明らかにこの10年近くでその傾向も変わってきている印象を感じています。一般的にメディアを通じて「海外移住」について情報を得ることが多いと思いますが、データや実際海外へ移住した多様な層へのインタビュー、そして移住や留学をサポートしているコンサルタントのコメントなど、リアルにこれらの現状を伝えているという点では非常に興味深い内容と感じています。

弊社も実務者としてこれまで多くの皆様の海外移住を支援してきた立場として、ご協力させていただきました。

大石先生は現在オーストラリア在住、ということもあり、オーストラリアへ移住した方の事例が多く記述されていますが、オーストラリアに限らず、日本人はまさに個々の目的や将来のライフプラン、家族の状況など多様な理由でそれぞれの選択した国へ移住を実践しています。半面、日本は「単一民族国家」であり、多民族には慣れていないというのが決定的に違う為、あらゆる「違い」を受け入れ「危険への察知」をしてあらたな社会へ順応していく心構えが大切と思います。

日本人はけっして多くの方が移住する国籍ではありませんが、重要なポイントは今、高度人材ほど出国している、という点です。これは既にデータで明確であり、2023年度ついに初めて日本国籍は出国している国籍トップ10入りしました。特にこのトップ10の国をみると益々この現象は何を物語っているか、この本から理解できるポイントも多いと思います。

世界は今、どの国も自国の経済促進の為に重要な高度人材獲得競争が激化しており、これらのスピードがどれだけ加速しているか、という点を日本も真剣に検討しなければならない時代に来ていると思います。

超人口減の日本は海外から高度人材を誘致する必要性は認識していると思いますが、もっと重要なのは「高度人材の日本人にどうしたら自国にとどまり、経済活動に参画し、日本の為に貢献してもらえるか」という点かと感じています。

その為にはいま、何がおきているか、なぜ海外移住しているか、などを知る事が第一歩と感じています。